中継島の退去2
賊の来襲などがあったこともあり、予定より1泊多く島に留まることになったが、その間に船の補修ができたのと、食料や水の補給もできた。
「では、出発する」
船長の合図で船が出発していく。
後ろに曳航された船には賊だけが乗っており、船同士を繋ぐロープを外したら逃げることができるのは確かだが、武器も食料も積んでいない船で生きていけないぞ、と言い含めてある。
それでも逃げ出して死亡したのであれば、他に選択肢はなかったのかと悩むかもしれないが、島で殺して行くよりは良いとの判断である。
前世のように島でも携帯電話がつながり、警察などを簡単に呼ぶことができれば楽だったのにと一瞬考えてしまったが、無いものを考えても無駄と割り切るユリアンネ。
それからしばらくたっても魔物が襲ってくることはなく、食事時になるとシルヴィスに彼らの食料を後ろの船まで送り届けさせるのがユリアンネの仕事になった。
「フィアの方が体が大きいから手伝っても良いのに」
「フェザー、ありがとうね。でも生きているフィアを万が一にでも賊に捕まえられたら大変じゃない。シルヴィスは生きていないし、形状も変えられるから気が楽なのよ」
島を出て2日目の昼間、ピラニアのような歯を持った、人の片足くらいの大きさの例の“飛魚”の集団が襲って来た。
ユリアンネはそれぞれの船に≪氷壁≫を発動してそれぞれの乗員を守る。もちろん、後でトドメをさせない後ろの船は、単に甲板にあがらせないような壁にしてある。
そのことが、魔物が増えていることを賊達が認知するきっかけになり、彼らの逃げ出す気持ちを折ったのであればありがたいのだが、と思ってしまうユリアンネ。




