中継島探索2
兎や小鳥などの食材を入手できた仲間達と港に戻り、船員達に情報共有を行う。
彼らも少量の肉を確保しただけでなく、港で釣りをして魚も釣り上げていたようである。
そしてせっかくなので、と船の中ではなく港でいくつかの火を起こして、昼間の間に入手した肉や魚をその火で炙って夕食にする。
ヨルクだけでなく他の乗客や船員達も嬉しそうである。
揺れる狭い船内で限られた食材の食事をするよりも、星空の下で食べるものはなおさら美味しく感じるのは自然なことであろう。
その後、ユリアンネ達や商人等の乗客は船室に戻って行く。
アーロルフ達、船の護衛冒険者達は港の建物に分かれて泊まりに行ったようである。
完全に皆が寝静まったと思われた真夜中。
「来たぞ!」
船の外から声がしたら、次々と伝言でその旨が伝わって行く。ユリアンネ達も仮眠状態であったので、すぐさまにそれぞれの得物を持って甲板に出て行く。そして中級光魔法≪照明≫を船の周りだけでなく港側にも発動する。
「なんだコイツら、気づいていたのか!」
服装も手にする武器もばらばらの賊が戸惑っている。
「奇襲は失敗したのだし、降伏しろ!」
アーロルフが諦めるように促しても戦意が下がった気配はない。
「いいさ、どうせやっちまえば良いんだ!」
「攻撃の届かないタコや蛇の化け物に比べたらお前達なんて」
船の護衛冒険者達の士気も高く、港の奥の方では戦闘が始まっているようである。
船のところにもやってきた賊は、桟橋の上に作られた≪氷壁≫を越えられずに戸惑っている。
船に乗り込むにはタラップのある場所、≪氷壁≫の向こう側に行く必要があるのに、船上からはゾフィとフェザーが矢を射って来るのである。