中継島探索
「なぁ、地上にいるんだし、火を使っても良いよな?」
砂浜に皆で揃って移動したところでヨルクが言い出す。
「分かったわよ、これでしょう?」
ユリアンネが魔法の収納袋からハイオークの肉を取り出すと、近くの森の入り口付近から枯れ枝などを集めてくるヨルク達。
ジーモントが焼いただけの肉だが、最近の保存食に飽きていたヨルク以外の仲間達も生き返ったという顔をする。
「もし獣達が見つからなければ、この肉を提供するか。そうすれば調理場で火も使わせてくれるだろうし」
「もっと早くにその決断をしても良かったかもな」
「船員や他の乗客を含めたあの人数分になると、流石にこの袋に入っている肉もそんなに持たないわよ」
「じゃあ、やっぱり食材調達を頑張ろうか」
久しぶりに動きまわれている戦馬達も歩けるのが嬉しいのか、森に入るときもついてくるそぶりを見せる。
「こんな大人数で移動したら獣達も逃げてしまうんじゃない?」
「それもそうだな。シャドウのフィアとユリのシルヴィスで偵察をして貰えるか?」
「俺達はあっちの岩場の方に行ってみるよ」
先ほどと同様に馬の居る班は砂浜の近くで待機して、鷹とミスリルの使い魔で偵察と追い立てを、馬の居ない班は岩場の向こう側を単純に探索することになった。
ユリアンネは座って安全な体勢をとって目をつぶる。シルヴィスと視界を共有し、森の上空を飛んでみる。
自分達のいる手前の砂浜、右手前の岩場に進むヨルク達。左手の方には自分達が乗って来た船と港、そしていくつかの建物。
前の方に広がる森。
「あれ?右奥の方にも何かある?」