中継島3
「海っていっても、トリアンの港ぐらいしか知らなかったから、砂浜っていうこれ、すごいな」
シミリートが素直に驚いている。
ユリアンネも前世記憶がなければ、このような存在は驚きかもしれない。知っていても、ゴミが浮いていることもない綺麗な白っぽい砂浜と透き通る青い海は感動である。
「これって土じゃないんですね。さらさらしていて。それに波がこんな面白いなんて。船から見るような単に揺れるのではなく、押し寄せて来たり遠くに離れて行ったり」
ドロテアも内陸育ちなので余計に楽しんでいる。
シャドウとフェザーの兄妹は海が身近な国の育ちだからか、それほど感動していないが、長い船旅の後の地上を満喫しているようである。
砂浜を堪能した一行はそのまま海沿いに進んでみるが、砂浜はある程度で終わってしまい、そこからは岩場になる。
「砂浜から島側はすぐに森になっているし、いったん戻ってから今後のことを相談した方が良いわね」
港に戻りジーモント達と合流する。
「お、そんな良いところがあったのか。後で俺達も行こう。こっちは、ちょっと森に入ったところにある湧水まで行ったよ。海まで小川になって流れているからすぐにわかった」
「あの人達は?」
船員達は誰も居ない建物の中を捜索して、食料になるものや補修材を探しているようだが、めぼしいものが見つかった感じではない。
「アーロルフ!この後はどうするんだ?」
何か武器を装備した一行。それを率いている冒険者リーダーに声をかけるシミリート。
「あぁ。どうも食料の調達ができないようだから、森に入って獣を探してみるさ。こっちの船員にも森に入ったことがあるものは居ないし、手探りだな」
「俺達も別ルートで森に入っても良いか?」
「逆に助かる。船長からも、何か食べ物を見つけてくれたら相場より高値で買い取ると言われている」