中継島
2度のシーサーペントの来襲の後、3度目は発生していない。
「海に潜られるって、結構面倒だな」
「そうね、倒せたのかも分からないわよね」
「こっちの逃げ場も船上しかないし、海の護衛って大変そうね」
雑談のままうつらうつらしていつの間にか寝ていたら夕食で起こされる。
「どうやらシーサーペントは去ったみたいだな」
「お、またタコの足か。コックも別の味付けを試しているみたいだな」
「しょっぱい魚が出ないだけありがたいよ」
良い加減に保存食に飽きて来ていたヨルクには、そちらの方がありがたいようである。船内では勝手に火を使えないので魔法の袋に入れたハイオークの肉の処理ができないからである。
そのタコの足も食べ尽くして保存食が再開されたところで、中継地である島への到着の連絡が入る。
「ここでまた新鮮なものが補給されるんだよな?」
「傷んだ船の補修もするのなら、ここで何泊かするのかしら」
船員に確認すると、通常は補給で立ち寄るだけだったが、補修作業などで少なくとも1泊にはなるという。
「じゃあ、船を降りて散策しても良いわね」
「そんなに大きな島では無いらしいわよ。トリアンの大きさも無いぐらいですって」
その島に近づくと砂浜の海岸線やその奥の森なども見えてくる。そして船がそのまま少し島をまわると建物群も見えて来て、木製の桟橋が突き出ているのも分かる。
この船はその桟橋に停めるために向かっているようである。
「なんか様子がおかしい気がするんだが」
「え?いつもならもっと人気があるのに。それに、桟橋に誰も迎えに来ていない」
船がつくとすぐに地上に降りたくて甲板に集まっていた仲間達。嫌な船員の発言にかたまってしまう。