乗客として乗船2
「こんな感じなのね。それなりの額を払ったのに」
カミラが案内された客室を見てため息をつく。
「そうですよね。1ヶ月同じ額の宿代を払えばもっと良いところに泊まれると思いますが、長距離移動が目的の運賃ですので」
「フェザー、ありがとうね。そうよね」
流石に男女混在まではなっていなかったが、ユリアンネ、カミラ、ゾフィ、ドロテア、フェザーが2段ベッドに分かれて割り振られていた。あと一つのベッドにも誰かが来る可能性がある。
ヨルク、シミリート、ジーモント、シャドウの方も知らない男性と相部屋になるのであろう。
「来るときには私達は兄妹で小さな部屋を借りられたので、変な気遣いをせずに済んだのは幸いでした」
「最初の頃は言葉もあまり慣れていなかったものね」
「はい、それに鷹のフィアもいましたので」
「いや、フィアは、客室ではなく馬達と一緒の今の方が普通よね」
「2人部屋だったのでそのわがままも通用していました」
「あ、動き出したわ」
急いで甲板に出ていく仲間達。
「あ、だんだんトリアンが遠ざかるわ」
「結構揺れるわね」
「この船のように帆船ならば風まかせよね。漕ぎ手がいっぱいの船もあるって聞いたけれど」
「それはきっと軍船ね」
ユリアンネは前世でも船での長旅は経験したことがなく、湾内観光程度だけである。あのときはエンジンの音がうるさかったが、帆船だと静かだが速度もそれ相応である。
静かに船がトリアンから離れて、街が小さくなっていくのをいつまでも見ている仲間達。
「じゃあ、次は食事だね」
「ゾフィったら、ヨルクみたい……」