21階の過剰戦力3
「そろそろ22階の階段付近だよな」
「そうだと思うけれど、“極東の輪舞曲”が居ないわね」
「あのクラン、いつも陣取っているイメージだったけれど、今は独立騒動後で活動休止なのかな」
「育成対象のクラン員が減ったのかもね」
「良いじゃないか、せっかくだからフロアボスや宝物を狙おうぜ」
シミリートが言うように、せっかくなのでこの出口付近のハイオークの村を殲滅することにする。
「じゃあ、ユリも遠慮しないで全力で行こうか」
「私達も目一杯頑張るわよ」
遠目でわかる見張り番にはゾフィの≪遠射≫のショートボウ、ユリアンネとドロテアの魔法攻撃で倒しておく。それに気づいて飛び出して来たハイオーク達は≪石壁≫などで分断しながら個別撃破していく。
それでも村に残っているハイオーク達は、使い魔シルヴィスを突撃させて挑発し、外に誘き出して倒す。
最終的に、村の中心にはハイオークファイターが3体、それの取り巻きのハイオークも5体が残っていたが、新しく学んだ≪豪炎≫も活用して一掃する。
「よし、ハイオークファイターの肉も旅のために温存だな」
「ヨルクにとっては宝物よりも肉か」
笑いながら探索して見つかったのは、中級回復魔法≪解毒≫の魔導書であった。
「う。もう少し早く入手できていれば色々と楽だったのに……」
「ま、入手できただけ良かったじゃないか」
ダンジョンを出た一行は、冒険者ギルドに向かい自分達には不要な素材等を売却するのと合わせてヨルク達4人の銅級冒険者への手続きを完了させる。
「そんな裏条件があったんだな」
「ま、そっちは闇ギルド達の相手でも条件クリアしていたからな」
「シミが強引にダンジョンを誘った意図もわかったよ。ありがとうな」