21階の過剰戦力
トリアンダンジョンの21階で、最初は鉄級冒険者のままであった4人がCランク魔物を1対1で倒せることのお試しをしていたが、その後は遠慮が無い。
シミリートも≪刺突≫の短槍を使いながら武技も織り交ぜることで、銀級冒険者らしい実力を発揮している。
ユリアンネはミスリルの使い魔であるシルヴィスを突撃に使うことで、単なる魔法による遠隔攻撃だけでなく、命中精度が高くて攻撃力の高い矢を使用するような感じである。
ドロテアも≪炎壁≫、≪火炎≫や≪氷刃≫を使い分けてCランク魔物を倒して行く。
「もうこれ以上は食べ切れないだろう?」
「それなら、ちょっと私の魔法の練習に使って良い?」
ユリアンネが≪病≫≪睡眠≫≪毒≫などの魔法の練習相手にしていく。また≪病≫や≪毒≫によって倒したハイオークの肉は食べたくないので、死霊魔法の素材に使うことにする。まだ昼のうちでは魔法の収納袋にしまうだけで、死霊魔法の練習は夜に試す予定である。
「あ、あれって騎士団だよな」
独立騒動も落ち着いたからか、騎士団によるダンジョンの魔物の間引きが本格化しつつ、新兵への教育も再開したのだと思われる。
「あ、近づいてくるぞ」
「やっぱり。前にここで出会ったよな」
「あ、はい。インハルト伍長ですよね。銀虎騎士団の」
「お、覚えてくれていたか。そうだ、銀虎騎士団第3旅団第4大隊のインハルトだ。あの時の若者達、今回の活躍の噂を聞いたぞ。名前にも記憶があったし。衛兵への採用が決まっていたシミリート君は諦めるにしても、魔法使いの彼女は強引にでも部下にしておくのだったと後悔しているよ」
「ははは」
「ま、仕方ない。これからの活躍も期待しているぞ」
頭を下げてインハルトが去っていくのを見送る仲間達。