表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍・漫画化】転生薬師は迷宮都市育ち  作者: かず@神戸トア
ストローデ領
557/850

シャイデン男爵の行方2

「我々もこのまま北方、ビザリア神聖王国に逃げ込むのですよね?あちらに行ってからも何とかやっていけるのでしょうか」

 シャイデン男爵の取り巻きというには品の悪い裏稼業の者達が多い。

 沈む船からネズミは早々に逃げるというからな、と表情に出さずに自嘲(じしょう)する。

「大丈夫だ。今回、我々はビザリア神聖王国と同盟を組んでいたのだ。彼らが王都シャトニーに攻め込めるように南方の真モシノム大公国とタイミングを合わせるよう調整したのも我らだ。亡命しても受け入れる程度のことはするはずだ」

「なら安心しやした。あっちに行けばしばらくは遊んで暮らせますかな」

 自分も腹の中は同等レベルであることを棚に上げて、品の悪い裏稼業の男の口調に眉を顰めてしまうシャイデン。


「もう良いだろう、明日も移動だ。休むぞ」

 愛人でもある女暗殺者を抱き寄せて、手下達を天幕から外に出るように指示する。

 迷宮都市トリアンの北方で野営をしていたのである。追っ手のことも考えて、数本の木が生えているところで火も炊かずの野営であり、ロクな食事も取れないため皆の不満が溜まる。ただ、自分自身も不満でありそれぞれの機嫌が良くない状態ではあるが、ともにトリアンに残っても未来がないことは確かなので、今のところは一緒に北方への逃避行である。


「このままではアイツらもいつか裏切る可能性があるな。そのうち……」

 半分寝言のような発言をしながら、女暗殺者を抱いて眠りにつくシャイデン。


「さぁ夜が明けた。火を使っても良いぞ。やっと、あったかい飯が食えるな」

 翌朝になり皆が鍋で温めた食事をとるが、すぐに喉を抑えて倒れ込む。

「どういうことだ……」

「男爵様の意向です」

 食事の準備をして配膳をした女暗殺者の返事である。


 同様に天幕の中で先に食事をして苦しんでいるシャイデンに対して、フラフラになりながら剣を持って迫る男達。

「なんだ、お前達……うわ!」


「お父様、お母様。ようやく仇を取ることができました」

 全員が息絶えたことを確認した女暗殺者が涙を流しながら呟く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おや? 思わぬところで……。 この暗殺者さんは一体。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ