ルオルゾン領軍2
「初めまして。私は子爵のアーロルト・フスハイムです」
「ふむ、ルーペルト・バーデ・フォン・ルオルゾンである。あなたが独立反対派の筆頭だと聞いたが」
街の北の貴族街はまだ混乱の可能性があるため、トリアンの高級街にあるフスハイム子爵の別邸にて、ルオルゾン領主である伯爵を対談のために迎え入れることにしたのである。
「それで、ストローデ領主の侯爵家の面々はどうなっているのかな」
「はい、当主であるインリート様ご自身は病床のため領主館の離れに。夫人も一緒に。嫡男のデレック様はトリアンの街中で身を隠されておりました。今、使いの者をやっておりますのでしばしお待ちを。そして国王を称していた領主代行のインガルズは領主館の本邸にいたはずですが」
「それが発見できずに困っている。インガルズの妻子だけはとらえたと聞いているのだが」
「もしや、通常の女人や子供は逃したということは?」
「あぁ、手荒な真似はせずに逃すように指示したが」
「やはり。インガルズの外見をご存知の方はいらっしゃらないですよね……彼は子供同様の身長なのです」
「まさかドワーフか?」
「いえ、ストローデ侯爵家にドワーフの血が、とは聞いたことがありません。ただ、血統魔法の代償が身長と聞いております。今の当主とその嫡男は通常の身長ですが、領主代行だった彼は身長が伸びず、逆に血統が濃いことを自負しておりました。ですので、なおさら次男であることを不満に思い当主を狙い、さらには国王になろうとしたのです」
「先に知っておれば……今から低身長の大人を探すのは難しいか。くそ!」「アナスガー、手配書だけ作っておけ」
「承知しました」