銅級冒険者2
応接室を出て他の4人と合流したシミリートとユリアンネ。
「あ、やっぱり銅級に昇格したのね。おめでとう!」
手に握ったままであった冒険者証を見つけたカミラ。
「そのことの呼び出しだったんだ。また領軍かどこかへの勧誘の話かとも思ったよ」
「いや、昇格の話だけだよ」
「よし、打ち上げと昇格祝いと行こう!ジモの料理も悪くないのだが、せっかくなら材料制限もない料理をしっかり食べよう!」
ヨルクの声かけに合わせて、少し高めで美味しいと評判の食堂に向かう。
「「「乾杯!」」」
まだ飲酒には早い年齢ばかりであり、食が優先なメンバであるので、外が明るい時間帯での宴でも気にしない。
「明後日には満月だから、街に冒険者も増えてきたな」
「あぁ、うちのかきいれ時だ」
「ジモの宿屋は特にそうだよな。でも商人はみんなだよな」
何となく話題にすることを避けながら時間が進むが、シミリートが切り出す。
「今回は皆ありがとう。俺が一緒の長期攻略はこれが最後だろう。本当にありがとう」
「あーぁ、リーダーが言っちゃった。しょうがない。来月から皆どうする?」
「今回で分かったよ。シミとユリの両方が居ないとこれ以上の攻略は進められないな」
「かといって、別の人を勧誘するのも今ひとつかな」
「ユリなら他から勧誘があると思うけど……」
「私は皆と一緒が良いわ」
「と本人が言うならば、しばらくは5人でも行ける階層に行くだけかな」
「日帰りならシミも参加できるときは参加しろよ」
「あぁもちろんだ!」
お互いに湿っぽくはならないように会話に気を配りながら、久しぶりの料理らしい料理を楽しんで解散した後は、それぞれの家に帰って行くのであった。
ユリアンネは“オトマン書肆”という住み込み見習い先であるが。