大捕物の後始末2
「マンファン、先日の捕物はちょっとやり過ぎたのではないか?」
「はぁ」
「という指摘を、例の隣の大隊長から頂いた。わかるな。俺は伝えたぞ」
「は、確かに中隊長からのお言葉、お伺いいたしました」
「よし、分かっていれば良い」
「マンファン分隊長、あれは続行と中止とどちらの意味で取れば良いのですか?」
「セレス、そんなことを聞くようではまだまだだな」
「でも、中隊長は王国魔術師団とのやりとりまで全て認めてくださっていますよね?」
「そうだ。だから、なんだよ」
「?」
まだ分かっていないセレスランに、小さな声でささやくマンファン。
「あの大隊長はシャイデン男爵と繋がっている可能性が高いのは分かっているよな。あの口封じもそのラインではないかというぐらい。
ただ、それぐらい世渡りが上手い佐官様だ。中隊長も出世を考えると直属上長ではなくても斜め上の大隊長に目をつけられたくはない。だから、釘を刺されたことは実行部隊の俺たちにきちんと伝えてある。
しかし、中隊長も今回はあの男爵と大隊長の分が悪いかもと思われている。だから、勝ち組になる可能性のある王国魔術師団との繋がりなどもしっかり確保している」
「よく分かりません」
「だから、あのような曖昧な言葉でどっちに転んでも自分の立場を守れるようにしているんだよ」
「!」
「ま、これでセレスも一つ大人になったな。出世するということはそういうことだよ。まだまだ真っ直ぐなシミには言うなよ」
「でも、この分隊はシャイデン男爵を潰すための行動を継続するんで良いですよね?」
「もちろんだ。今回入手した、男爵の裏商会のネタで次は攻めていくぞ」
「それだけはっきり言って貰った方が楽で良いですね。はい、行きますよ」