吸血ダガーの正体2
王都の城壁外のガラクタ市場で入手した、錆びついて抜くこともできなかった黒い刀身の短剣にはベリスという悪魔が封印されていたと判明した。
「悪魔魔法や死霊魔法も習得して、さらには悪魔が封印されたダガーを持つ魔女」
「ちょっと、カミラ、変な言い方しないでよ!」
「ははは、冗談よ。でも事実よね」
「……。神殿かどこかに持って行った方が良いのかしら」
『なんだと!我が何をしたというのだ』
「悪魔が無実を訴えているわ……」
「まぁ確かに。人を殺した道具っていうならば、シミのショートソードの方が殺しているわよね」
「そんな言い方。でも確かにこっちの方がそうだな」
「そうだ。武器は身を守るためのものでもある道具なだけだ」
鍛冶を営むヨルクの力説がツボにハマったようで皆が笑う。
「そうよね。確かに料理をする包丁でも人は殺せるし、このダガーの存在そのものが悪いわけでは無いわね」
「って言っても、これからどうするの?ユリを主と認める悪魔のダガーなんでしょう?シミが使い続けるの?それに、本当に使い続けるの?」
「う。確かに≪頑丈≫のダガーも買ったし、≪睡眠≫のダガーも入手したし、な。≪麻痺≫のダガーもあるから、怪しい≪吸血≫は使わなくても。いや、でも相手にダメージを一番与えるのは≪吸血≫だろうし、魔物の血抜きも楽なんだよな」
「私が持っていても多分使わないわよ」
「ユリがそういうならば、まだしばらく俺が使うか?」
『我にもっと血を。もっと魂を捧げよ』
「うるさいわね。だいたい魂って何よ?」