踏み込みの後始末
「流石に2拠点を連続は大変だったな」
「ヨルク、あんたは何もしていないでしょう?」
「そういうゾフィだって」
「まぁみんな怪我がなくて良かったじゃない」
“選ばれた盟友”で色々と動いたのはユリアンネ、シミリート、ドロテアだけであり残りは見張り程度であった。
「で、狙いだった“蒼海の眼”の残党はどうだったんですか?」
「あぁ、結論から言うと2人ともそれぞれの拠点にいた。だからどちらも犯罪奴隷にしてある。あ、わかっている。他に残党がいないかは2人ともに確認して、これ以上は“闇ギルド”にも居ないと確認済みだ」
「そうですか、良かった。ありがとうございます」
仲間たちからも安堵の息が漏れるのがわかる。
「これで安心して寝られるのね」
「いや、“闇ギルド”自体が残っているし、独立派がいる限りはそうとも言えないよね」
「そうですね。皆さん、そして魔術師団の協力もあって2拠点を潰すことができました。それに犯罪奴隷もたくさん追加入手できたので、ここの奴隷2人以上の情報がこれから入手できます」
「そうですか。それだけ居れば、口封じに殺されていく心配も無いですかね」
「あぁ、あれだけの大捕物をしたから、俺たちの属する中隊だけでは対応しきれなくなった。さらに上の第3大隊にあげて扱うことになった」
「口封じの危険もあるが、すでに得られた情報がたくさんあるから、効果が少ないことも相手もわかるだろう」
「大捕物の話は、残る“闇ギルド”の拠点にも伝わってしまいましたよね……」
「仕方ないだろう。地道な対応に戻るところもあるだろうが、まだ連続して対処するぞ」
自分たちの秘密基地に留めておいた“闇ギルド”の2人の犯罪奴隷も、この機会にマンファンたちに預けることにしたシミリートたち。
「まだまだだけれど、少しはホッとしたかな」
「そうだね。この家も仲間たちだけになって、今夜くらいはゆっくり寝よう」
衛兵団への支援依頼に対する報酬、犯罪奴隷の引き渡しの報酬、彼らの武器の売却代等々で金銭的にも成果のあった捕物であり、豪華な夕食を楽しむのであった。