秘密基地2
「そうか、それは……。総合的には良い選択だと思うが、南部旅団の連中には悪いことをしたかな」
「マンファンさん……」
「よし、夕方にはセレスと一緒に行く。“闇ギルド”のことも聞きたいことはたくさんあるが、まずは拠点の把握のためだ」
シミリートは、急ぎということでダンジョン内ではなく衛兵団の拠点に向かい、マンファンとセレスランに状況を説明する。
「それにしても、“蒼海の眼”の残党か。またお前たちには迷惑をかけてしまったな」
「いえ。でも今度こそ。我々も頑張りますので」
「お前たちは無理をするなよ。特に一般人の仲間たちは。いざとなればまたトリアンから外に逃げてくれよ、俺たちに後を任せて」
上司や先輩たちの気遣いをありがたく思いつつ、今回は最後までと思っているシミリート。
「え?みんなで新しい拠点に行くのか?じゃあ俺だけ仲間はずれはないだろう」
ジーモントも両親を説得し、秘密基地に行くことを決める。
「私たちはダメなんですか?」
フェザーが悲しそうな顔をするが、シミリートが強く断る。
「俺たちが前にトリアンを去ったときの落とし前をつけるためなんだよ」
何のことかは分からないが、意思が強そうなことを理解したシャドウが、フェザーの肩を叩いて首を振る。フェザーもうなだれるが理解はして貰えたようである。
「じゃあ、荷物と馬を移動するな」
シミリートも武器屋である実家に、新しい拠点のことを伝えて自身の荷物を持ち出す。
「ユリちゃんと上手くやれよ」
と兄たちにからかわれるが、流石に“闇ギルド”との対決のための拠点とは言えないので苦笑いで誤魔化しておく。