久しぶりのガラクタ市2
久しぶりのガラクタ市に、出品はせずに買い物客に専念するつもりの仲間たち。
王都の城壁外で実施されていたガラクタ市場も経験した今では、それに比べるとゴミみたいな物は少ないという期待がある。
「え?想像していたのよりも出店が少ないわね」
「冒険者が減ったのと、それで冒険者ギルドの買取価格が高くなったからここで売るものが減ったのかな」
「何よ、楽しみにしていたのにー」
「私、初めてですが、この雑然とした感じ、すごく楽しいですよ」
「テアはやさしいね。そうね。せっかくトリアンに帰って来たんだから楽しみましょう」
「6人での移動は難しそうだから、別れるか。いつものようにヨルクとゾフィ、俺とユリアンネ。後はカミラとテアでいいか?」
「はいはい。集合はここね。日が暮れるくらいには戻ってきましょう」
王都のガラクタ市場ほどではないので、手を繋ぎはしないが、それでも離れ離れにならない距離感で2人組になって市を巡る。
「シミは何を探すの?」
「そうだな。普通の武器は実家で入手できるし、特に何ってわけでもないかな。もしユリが鑑定で良いものを見つけたら考えるけれど。ユリが見たいものは、魔道具かな?」
「魔導書なんてないだろうし、珍しい薬かその素材。そうね、あと魔道具か何かあれば、かな」
「よし。昼食として適当に買い食いもしながらゆっくり楽しもう」
シミリートにすればユリアンネと2人で買い物ができるだけで満足であり、少しずつ彼女が元気になっていることも喜ばしい。
「やっぱり目ぼしいものは、価値を分かっていて妥当な値段をつけているわね。そうでなくても目利きの商人たちが既に買っているでしょうし」
「そうだよな。やっぱり、さっきのあれ、買いに戻っても良いかな」
シミリートが買いに戻ったのは≪頑丈≫のダガーと売主が言っていたものであった。
「ユリに借りた麻痺のダガーが、投擲ばかりするから傷んで来たからな」
「そんな値段を払うならば、使い捨てのダガーをたくさん魔法の袋に入れておけば良いのに」
「う、確かに……。でも、レイスみたいに通常武器が効かない相手もいるし……」