トリアンの書店仲間
主にダンジョン探索、シャドウたちや魔術師団員たちが少しでも深い階層にたどり着くことを支援している日々。
ある日、武器屋である実家に帰ったシミリートへ母親が声をかけてくる。
「ユリちゃんに伝言があるって」
商売の旅に出ていた書店の人から、とのこと。
トリアンに戻って来て“オトマン書肆”を訪問しようとすると防具屋に。書店がどうなったか聞いても防具屋は経緯を知らないため、隣の武器屋である“輝星の武器庫”に話を振ってきたらしい。
オトマンやユリアンネの名前を出していたし、その業界での知り合いかもしれないので、書店の住所を預かったとのこと。
オトマンのことを思い出させてしまうので、ユリアンネに伝えるかをシミリートたちは悩んだが、ユリアンネ自身に行くかは判断して貰うことにする。
「ということらしい。断るならば俺が伝言してくるよ。先方も事情を踏まえて怒ったりはしないだろう」
ユリアンネの感情が揺れたことに気づいたシミリートが補足する。
「……私の名前を出したのならば、古書交換会などで知り合った人かもしれない。たぶん、オトマンさんか私が興味ある分野の本を仕入れたという話じゃないかな。聞く前から断るのも失礼だし、まずは会ってみようと思う」
「じゃあ、俺も一緒に行くよ」
住所も高級街の書店であり、何かの罠とも思わないがシミリートと戦馬に乗って一緒に向かう。
「ユリアンネちゃん。この度は御愁傷様で……」
「いえ。ありがとうございます」
初めて訪問する店舗だったが、“オトマン書肆”と同等規模の書店であった。ユリアンネは古書交換会で初級風魔法の魔導書を買った相手であることを思い出す。