ダンジョン内での初会合3
色々と情報交換を行なっているフェルバーとマンファンだが、いよいよ核心に。
「ではマンファン殿は、どうすればこの独立騒動をおさめられるとお考えですか」
「難しいですね。王国軍が武力で制圧すれば確実でしょうが、それだけの軍勢を連れてくるには時間もかかりますし、皆さんが越えてこられたモンヴァルト山脈の魔物も減ったままとは思えないです。またそれでは住民の被害が大きくなってしまいます」
「……では?」
「そうですね。我々としては私怨と言われてしまう件もあるので、一意見と聞いて頂けましたら。一番早いのはエードルフ・シャイデン男爵の暗殺もしくは拘束ですかね。インガルズ様の右腕として、独立派を実質的に動かしているのはあの男だと思われますので」
「なるほど。ちなみに私怨とは?」
「衛兵が捕まえた犯罪者を口封じしたと思われる件数が多数あります。最近では、ユリアンネさんの師匠である書店の主人を略奪で死亡させたことも」
「!」
認識していなかったフェルバーとニキアスがシミリートの顔を見る。シミリートが辛そうに頷くことで、自分たちも知るユリアンネのことであると認知し、しばらく彼女の顔を見ていない、今日にも参加していない理由を知る。
「そうだったのですね……」
「彼女の使い魔を使えば色々なことができたでしょうに」
「?ニキアス様、どういうことでしょうか?」
またシミリートの顔を見たニキアスが、彼が上司たちに伝えていなかったのはわざとなのか漏れなのか分からないが、一度口にしたことなので、魔銀の使い魔のことを伝える。見たものを共有でき、小さく頑丈であるシルヴィスは偵察活動に大変有効であることである。
単に報告することに思い至っていなかったシミリートではあるが、以前にユリアンネのことをペラペラと上司に話して仲間や親からも怒られたことを思い出し苦笑いするしかなかった。