フェルバーの悩み3
シミリートが指摘したように、7人の魔法使いがまとめて冒険者登録に行くと目立つため、フェルバーを含めた“満月の宿木亭”に泊まる4人が先に登録に訪れる。仕方がないので、それにはシミリートとニキアスが付き合っている。
「なんだか木級というのは馬鹿にされているようで嫌なものですね」
「文句は言わないでください。これからのことを踏まえると、ダンジョンにも潜って貰い、どうせなら11階まで到達して鉄級の証に変えて貰うのも良いでしょうね」
「確かに。話に聞いたダンジョンの仕組みだと、行ったことのある階層に直接行けるならば秘密の会合をするのに便利ですよね」
そのままフェルバーたちを連れて“満月の宿木亭”に向かい、ジーモントに事情を伝えて今後しばらく泊まる手続きなどを行う。
ドロテアもずっと宿に泊まったままであるので、ジーモントと彼女に、残る貴族の魔術師団員3人の冒険者登録に付き合ってもらう。その間にシミリートはニキアスと一緒に港街の宿屋を手配している。
それらが終わった後もシミリート、ジーモント、ドロテアの3人は魔術師団員の8人に対して、トリアンダンジョンへの入り方を手分けして教えながらダンジョンの1階に入る。ドロテアも初めてなのでついでに水晶ペンダントを入手させている。
「もうこれでやり方は分かりましたね。皆さんの実力ならば10階までのEランク魔物は敵ではないでしょう。早めに11階に到着されることを祈っていますね」
シミリートはさらにニキアスと一緒に、街の南部の宿に泊まっている残り7人の魔術師団員とも連絡をとり、トリアンの街の3ヶ所の宿に分かれたことやダンジョンの中で会合を持つようにすることなどを説明していく。
「シミリートさん、本当に色々とお世話になりました。ありがとうございました。流石は地元というべきか、衛兵の段取りというべきか」
「まぁどちらでも良いですよ。報酬をちゃんと貰いましたし、ね」
「そこは変わらず冒険者らしいですね。逆に頼もしいです。引き続きお願いしますね」