メイユの代官館
「待たせたな。ギルドマスター」
「いえ、代官様。お忙しいところ申し訳ありません」
夜にメイユの代官館に急遽訪れたギルドマスターに対して面会している代官。
「急用ということは、何か魔物の関係か?」
「はい、それもありますが……」
フスハレの街の冒険者ギルドからの書状の内容を報告するギルドマスター。
「山脈側だけでなく魔の森側にも冒険者を割り当てないと危険ということか。確かに最近は山脈側に注力していたな。わかった。そのように配置、さらに割り増し報酬も考えるとしよう」
「ありがとうございます。ただ……」
「わかっている。それよりも、だ。モンヴァルト山脈の向こう側のフスハレからの書状をどうやって?南のステルビア王国経由ではないのだろう?」
「はい、山脈を越えて来たものと思われます」
「やはり。それほど実力のある者か。何なら召し抱えたいぐらいだな」
「それが、どうも既に雇用か依頼をされているようで。王国魔術師団に」
「何?どういうことだ?」
「狩りをしていた冒険者たちが、王国魔術師団の集団が山を下りて来るのを見かけたようです」
「ふむ……」
「やはりストローデの独立宣言に絡んでいると思うべきかと」
「そうだろうな」
「いかがされますか?」
「とは言っても、お前たち冒険者ギルドは中立。政治に関わらないのだろう?」
「はい」
「ふん。まぁこちらも様子見だ。もしトリアン方面が何か言ってきても、不確定情報で対応するほどで無かったと回答する。トリアンも揺れているようだしな。おかげでこの街には冒険者が増えて、魔物対応できるのはありがたいが」