モンヴァルト山脈での夜襲3
高級ポーションをかけられて変な声を漏らしたダニロ。
「また下品な悲鳴を。お前、やっぱり元々は下品なんだろう?変に取り繕っているが」
「何ですと!」
そのポーションで弱っている隙にユリアンネの魔法やシルヴィスの突進は継続してあり、心臓部ではないものの腹部にはシルヴィスが突き刺さる。
「グゥ!」
「お前、夜に攻めてくるのは卑怯ではないのか?」
「我らは夜が通常の生活時間帯。何も卑怯ではありません!」
「じゃあその生活をせずにここまで何をしに来たんだ?」
「山脈を越えようと登る不届き者を懲らしめるよう、ニキシオン様に直々に頂戴した使命です。ここで死んで貰いますよ!」
「とか言って。またすぐに逃げるんだろう!」
相変わらずシミリートの挑発にすぐに乗ってくるダニロ。
「シミリートさん!それはまさか!」
「ニキアスさん。はい、先日ご報告しました吸血鬼です。こいつがこのレイスたちの元凶で、この山脈の魔物たちの元凶もこいつの始祖のせいです」
「やはり」「あの吸血鬼が最優先攻撃対象だ。ここで仕留めるのだ!」
ニキアスが魔術師団員たちに号令を出したおかげで、上空を飛ぶダニロに対して次々と攻撃魔法が発動される。ニキアス自身も≪氷結≫魔法を発動しているようである。
逆にダニロからも≪氷槍≫が無差別に撒き散らされるが、団員たちは≪結界≫魔法で、シミリートはカイトシールドをかざして防いでいく。
そしてあちこちに気を散らせた隙に、再び使い魔のシルヴィスを突進させるユリアンネ。
「ですから、同じ手は……」
さらに気を散らさせることに成功した合間に≪炎槍≫を発動したユリアンネ。シミリートは≪吸血≫のダガーを投擲する。
≪炎槍≫をまともに受け、≪吸血≫のダガーが刺さったダニロは耐えきれなくなったようであり、
「覚えておきなさい!」
の一言を絞り出すと霧になって消えていく。