モンヴァルト山脈での夜襲2
「みんな落ち着いて。散らばりすぎると同士討ちの危険が。まずは集まって」
シミリートだけでなく冒険者たちの方でも声が上がっている。
「ユリ!テア!」
「分かっているわよ」
「はい」
“選ばれた盟友”の7人も集まっていたが、そこにレイスが飛び込んでくる。
シミリートが≪刺突≫のショートスピアを突き出しながら≪頑丈≫のカイトシールドを構え、カミラが氷をまとうショートソードを振るい、ジーモントが≪頑丈≫のバックラーを構えながらシミリートの横に立つ。
ドロテアはその先に誰もいない方向であることを確認した上で≪火炎≫を発動し、ユリアンネは≪火槍≫を発動する。
「見つけましたよ!お前たち!我の指輪を返しなさい!」
「あ、逃げ足の速い吸血鬼」
「何ですって!」
「今度こそ殺されに来たのか?お、そういえばレイスってことはあの魔導書は成功なのか?」
「お前たち、私の研究成果も奪ったのですね!ニキシオン様に頂いた指輪と合わせて返しなさい!」
「指輪ってこれ?」
カミラがわざと、女吸血鬼モラクが持っていたのと合わせて2つ、金細工の指輪を見せる。
「返しなさい!」
蝙蝠のような翼を使って飛び込んでくるが、シミリートが魔槍を突き出すと同時に、ユリアンネも≪火槍≫を発動するとともに、今回も使い魔シルヴィスを吸血鬼ダニロの胸に向けて飛ばす。
前回の反省か、シルヴィスの突進を優先して回避するダニロ。
「2度も同じ手が効くとは思わないことですね」
「そうかい?じゃあこれは?」
シミリートが近づいていたダニロに、高級の傷回復ポーションを振りかける。
「グヴォ!」