村の奪還戦
翌朝になり、ビザリア神聖王国の兵士が疲労していると思われるタイミングで襲撃をかけることになっていた。
「村の周囲からの報告では、見えるところに兵士はおりません。我々に囲まれていることを分かっているので、陰になるところに隠れていると思われます」
「ふむ。このまま攻め込むとこちらの被害も心配だな。策は無いか?」
「再度、使い魔に偵察をさせること。さらに神聖王国の魔術師団員のローブを使って油断させたところを狙うこと、はいかがでしょうか?」
「そうか、捕虜で戦争奴隷にした者が居るか。とはいえ、敵にしても魔法使い1人だけの増援が来ると思うわけもないよな。それに、魔法使い1人を送り込んでもすぐにやられるだろう?」
「では、危険がない程度に離れた場所から、使い魔に偵察させることにして、それで分かった敵の配置に合わせて攻め込むことに決定する」
ニキアスが嫌々ながら使い魔の鳥リンを再び飛ばし、今回は矢が届かない上空から偵察をさせる。
「敵も襲撃に備えるためか、村の周辺には配置されておらず、中心部の建物周辺に10人ほどが集まっています。ただ、建物に隠れていると分かりません。また村人は屋外に居ないように見えます」
簡単な俯瞰図を書きながら報告するニキアス。
「では、騎士団の半数が騎兵のまま門から駆け込み、残り半数と魔術師団は徒歩で柵を壊して村に侵入することにする。こことここの二手に分かれろ」
“選ばれた盟友”の7人だけは、徒歩で行く者達の馬と一緒に待機となり、フェルバー中尉やニキアス曹長を見送る。