6人最後の長期攻略
幼なじみ冒険者パーティー“選ばれた盟友”の今後について結論は出なかったが、6人最後の記念にダンジョン攻略に挑戦することだけは決まった。
シミリートが長期休暇を取れる機会はそんなに無さそうなので、何日もの泊まりがけ攻略は難しくなるはずだからである。
「よーし、最後に22階の顔を見てやるとするか!」
この6人で数年ダンジョンに挑戦して来た結果、ペンダントが銅色になる21階への到達は出来ていた。ただ出現する魔物が20階までのDランクではなく21階からはCランクであることもあり、その21階の踏破は出来ていない。
またこのダンジョンは階層の塊ごと、1階〜10階、11階〜20階、21階〜で広さが異なっている。Eランク魔物ばかりの10階までは、正方形の階層の対角線が徒歩で約1日だが、11階からは約2日に、21階からは約4日と言われている。単純に面積が4倍、4倍となっているのである。
満月ごとにリセットされる内部構造に対する地図もギルドで販売されるが、1階〜10階は銀貨1枚、11階〜20階は銀貨4枚、21階〜は銀貨16枚とされている。当然なこととして、先達が調査してギルドに報告されてから販売になるので月初めは入手できない。さらに21階以降は販売されていないこともある。
ちなみに難易度が上がるのに面積あたりは同じ価格になっているのは、少しでも攻略を進めて欲しい思惑があるギルドによる補填である。
自身の能力の成長限界を感じた冒険者で、自身の安全圏の階層で月初めに地図作成のためにダンジョンに潜り、誰よりも早く情報価値が高いうちにギルドに販売するというルーチンを繰り返している者たちも居る。月初め、構造変更のあとは宝物も再配置されるので、なるべく早く階層を踏破することは思わぬ収入に出くわす期待もある。
今月も下旬に入っており、幸いに21階の地図は販売されていたが、今月の構造では、21階の入口から22階への階段である出口までは直線でも数日かかりそうである。
翌日からのダンジョン挑戦に向けて、野営等の準備や実家の家族たちへの説明のために早めに帰宅する6人であった。