冒険者パーティーの存続
そして、その幼なじみ6人の冒険者パーティーのリーダーであったシミリートの、衛兵採用が決まったのである。彼は元々それを目指していたので喜ばしいことである。
「で、冒険者パーティーはどうするの?」
「前から相談していたように、俺が抜けても続けないのか?今までも6人がそろわなくても集まったメンバだけで行くこともあっただろう?それに毎日衛兵の仕事があるわけではないから、休みの日には参加することもあるよ」
「あれ?衛兵をしながら冒険者を続けていいの?」
「この迷宮都市だけかもしれないけれど、自己研鑽の一環として逆に推奨されているらしい」
ユリアンネとの2人だけで決める話ではないので、一度6人で集まることになった。
皆からシミリートに一通りお祝いの言葉がかけられた後に、話し合いが始まる。
「で、結局のところ、みんなは強くなることよりも素材を集めたいんだよな?強くなった方が素材回収も楽ではあるけれど」
「そうね、シミは強さがとにかく優先だったけれどね」
「ならば、他の冒険者を護衛として雇うか、素材回収を頼むか、でも良いのか?」
「それだとコストがかかるから、まだまだ自分たちで採りに行ける方が良いかな」
「雇うより、自分も戦闘するメンバとして野良パーティーでも募集した方が安いけれど、変な奴が紛れ込む可能性もあるからなぁ。うちには女性が3人も居るし」
「確かに何だかんだと言って、この6人は互いにメリットがある組み合わせだったんだよな。いかにも戦士という気心が許せる仲間を1人だけ探すのは簡単では無いだろうな」
「なぁ俺以外にもそろそろ家業に専念する奴も出てくるだろう?特にジモなんて宿屋の長男で後継だからどうだ?」
「まぁ両親がまだまだ健在だし、客層のほとんどになる冒険者のことを知り、食材も入手できることは歓迎の状態かな。それにうちは中級の宿屋で、満月のダンジョン構造変更から退避してくる小金持ち冒険者がメインターゲットで、日頃は余裕があるからな」
「あれ?そうなのか。じゃあ、工芸屋の長女のカミラは?」
「そうね、ジモと同じかな。まだ両親は現役だし、色々な経験を積む方が良いと思っているみたい」
「「「うーん……」」」