フィノイスの街
国境から2つ目の街であるステフェンを出て北上していると、遠目にフィノイスの街が見えてくる。
「ちょっと待って。なんか雰囲気がやばくない?」
弓矢を使うからか仲間の中でも視力が良いゾフィが異変に気づく。
その声を伝え聞いた小隊長のフェルバー中尉は、斥候役をシミリートに打診してくる。
「うちの隊員はそういうことが得意ではないから、冒険者の皆さんにお願いしたいのです。鳥の使い魔を使役できるニキアスでも、敵に近寄るのは失敗しかねないので」
「様子を見てくるだけですよ」
見つかっても何とかできる可能性のあるシミリートとユリアンネがそれぞれの戦馬バトルホース、ゼラとライオに乗って様子を見に行くことになった。
ゆっくりと街道を進んで行き、木立のかげに馬をとめてさらに進んでみる。
「あれって。街の城門の周りにいるのは軍隊だよな」
「そうね。でも向きが外に向いていなく、閉じられた城門の方を向いているわね」
「あ、お互いに弓矢や魔法の攻撃をしているみたいだ。これはまずいぞ」
こちらに注意が向いているとは思わないが、そっと馬のところまで戻り、そのあとはできるだけ急いで小隊のところにまで駆けて戻る。
「それはまずい。我々はフィノイスの街の守備隊に合流するよう命令を受けて来たのだが、こうなると……」
「我々より先発の部隊はどうなったのでしょうか。無事にフィノイスの街に入れていると思えば良いですかね」
「そうだな、いったんステフェンの街に戻ろう。そこで彼らの情報がなければ、そういうことなのだと考えよう。ステフェンの守備隊には、後からの増援部隊を受け入れる準備も含めて伝えておかないと」