冒険者パーティー
シミリートは将来目標に役立つように、衛兵が装備することの多い短槍槍と小さな丸盾に、片手剣を中心に鍛えた。
ヨルクは自慢の力を重視した戦斧を使いながら、冒険者が求める武器を直に知って鍛えられるようになるために参加した。
ゾフィは皮革職人として解体から学びつつ練習に使う素材入手のために参加するが、非力なのと魔物に接近したくないので、短弓を武器として選択。
カミラはガラス製品などの工芸屋の長女であり、工芸に使える自然素材や魔物の骨などの入手を目的に、片手剣と短剣で参加。
ジーモントは食材調達を意識して参加したのだが、女性3人と男性でもドワーフが1人なので、体格が良い男性は2人のみ。自然と盾を持つことが期待され、丸盾と片手剣を装備することになった。
そしてユリアンネの装備である。
最初はシミリートとジーモントの2人がダンジョンに潜るときに怪我した場合の治療薬に期待されただけである。そこで、最低限の身を守る刃物として、採取ナイフ以外に短剣を装備しただけであった。後は休憩時の飲み水に≪水生成≫、焚き火のために≪火生成≫を使うために、父ラルフに貰った魔法発動体の短い杖であった。
しかし、段々と≪火球≫など覚えた魔法も使用するようになると少しでも威力を求めるようになり、先輩冒険者の魔法使いロルトのように、身長ほどもある長さの杖を装備するようになった。
その結果、顔の上部を隠すためのフード付きローブとスタッフといういかにも魔法使いらしい姿になったのである。さらに顔の下半分を隠すための布マスクまでしているので、パーティー以外の人たちからは、素顔が分からない魔法使いと思われている。
そしてこの6人の冒険者パーティーの名前は、最初に声掛けをしたシミリートの好みで“選ばれた盟友”となった。シミリート、ジーモントの2人がユリアンネを経由してヨルク、カミラ、ゾフィの3人と縁が繋がった6人である。
ちなみに、この迷宮都市トリアンでは、同じ世代の子供達が冒険者パーティーを作りダンジョンに挑戦すること、そしてパーティー名が微妙に恥ずかしいことまで含めてごく一般的な話であった。




