シャドウ達との別れ
盗賊退治から間も無くシャドウとフェザーが帰郷することに。当然に鷹のフィア、大きな馬のホーも一緒に帰郷するため、家が寂しく感じる。先日の盗賊退治の際に頭目のグレートベアが使用していた馬を戦利品として入手したので、馬屋に3頭の馬が居ることは変わらないが、大きさも違う。
「みんな、本当に世話になった。トリアンの親御さんたちへの手紙はしっかり届けるからな」
「寂しくなるわね。フェザー、先日買った服を楽しんでね」
「周りの冒険者達とも仲良くな」
「あぁ、その手配まで世話になって、本当に助かった」
長距離移動を兄妹2人だけでは何かと危険なため、王都に来たときと同様に護衛依頼を受けながらトリアンに向かうはずだったが、彼らのコミュニケーション能力が心配だった。最初に会ったときよりはかなり向上してはいるのだが。
そこで、クロリス商会にお願いしてその護衛に雇って貰ったのである。途中途中の街の冒険者ギルドで護衛依頼を探しながら、その都度に新しい雇用主や同僚になる冒険者達とのコミュニケーションをすることを回避できたので、王都に残るシミリート達も安心である。
「え?ヴィンデルさん?」
「誰が来ると思ったんだ?」
出発の日、見送りに城門手前まで来たところ、クロリス商会の馬車の護衛で居たのは、王都に来るまで一緒だったヴィンデル、アントニウス、ソフィアン、テルマの4人であった。
「いえ、商会専属の冒険者とはもちろん分かっていましたが、クロリスさんが移動されるときの護衛かと」
「まぁその比率が大きかったけれど、会頭もしばらくは遠出をされないということで、俺たちに白羽の矢が、な」
「ならばシャドウ達もますます気が楽ですね。よろしくお願いします」
「任せておけ」
幼馴染の6人の次に長く一緒に居た仲間と別れることに感じるものはあったが、彼らも故郷で酋長の後継者になる道が待っているのである。いくつかのポーションをお守りに渡すだけで別れを我慢する。