シャドウ達の事情
王都に到着すると、縛った男7人を荷馬車に積んだ怪しさから、まず城門で事情を聞かれる。盗賊退治の依頼書、村長の完了サインも見せた上で衛兵に引き渡す。そのまま冒険者ギルドに依頼の完了報告も行っておく。
そのうち、盗賊を生きたまま引き渡したことによる、犯罪奴隷化の販売益も貰えることが期待できる。
「ふー、やっと帰って来た感じがするな」
「ヨルク、たった2晩だけ外泊しただけなのに?」
「いやー、最近ハイオーク系のうまい肉になれていたからな」
とヨルク達がおどけていたところに、シャドウが真面目な顔で話だす。
「話を聞いてくれるか」
シャドウとフェザーが故郷から出て来た理由は、今回のグレートベアを追いかけてくるためだったという。
シャドウが洞窟のところで飛びついた黒い石で出来た像をテーブルの上に置き、それが故郷の集落で大事にされてきた黒曜石の神像であると説明する。これを集落から盗んだグレートベアを追いかけて来たと。シャドウとフェザーは酋長の子供であり、これを取り返さないと酋長の座を継ぐことができないとのこと。
「何か訳ありと思っていたけど、大変だったんだな」
「でもなんでアイツもあんなところで盗賊なんてやっていたんだ?」
「聞いたところ、一緒に盗んだ他のものを売り払いながら王都で生活していたが、立ち行かなくなって王都からチンピラ達を伴って都落ちしたらしい。ただ、あんな洞窟生活でどんどん仲間からも見捨てられていき、この後どうなるかと思っていたと」
「まぁ自業自得よね」
「もしかして、故郷からの盗品を売り払う際に得た伝手で、ポルダ村からの訴えを握り潰していた悪い役人がいるのかな」
「冒険者に頼むしか無くなった理由がそんなのだったら、その汚職役人も芋蔓で捕まって欲しいね。せっかくアイツらを生きたまま引き渡したんだから」