ポルダ村の盗賊3
「これは良いな」
流石に誘われるまま洞窟の中に、今度はこちらが1人ずつ攻め込むと逆の袋叩きになりえる。そこで、洞窟の入口で火を起こし、森からとって来た生木を燃やして出て来た煙を、ユリアンネが風魔法で洞窟の中に送り込んだのである。
「なんだこれ!くそ!」
ゲホゲホと咳の声も聞こえてくるが、まだ我慢しているようである。
「まぁ良いか、しばらく続けよう」
ある程度続けて煙を送り込んだ後は、焚き火ごと≪石壁≫魔法で入口を閉じてしまう。
『これって一酸化中毒とかになるかも』
殺害まではしたく無いため、適当なところで≪石壁≫を取り外し、風魔法で洞窟内に新たな風を送り込む。
「よし、俺たちが先頭を進むぞ」
シミリートとジーモントを前に洞窟の中に進んでみると、細い通路は10mもなく、その先が少し広い場所になっていた。ただ入口からの明かりは入らず、火を使うのも避けたかったので光魔法≪灯り≫を使用して確認している。
「3人ほど倒れているぞ!」
「まず武器を取りあげるぞ!」
うめきながら動いているものもいたが、手分けして武器を取り上げて縛って行く。
この部屋にいた全員を縛り、安全が確保された後に、シミリート、ジーモント、シャドウの3人が盗賊達を担いで洞窟前に運び出す。
洞窟の中にあった雑多なものは全ていったん魔法の袋に収納してある。
「お前達は!」
ユリアンネが≪軽病治療≫で、洞窟内で倒れていた3人を治療していき、最後に治療した黒髪の男を目覚めさせたときのことである。周りを見渡したグレートベアが、シャドウとフェザーの兄妹をみて叫ぶ。