指名依頼
魔の森での魔物の間引きが終わって間もない頃、冒険者ギルドから指名依頼の相談が来る。
「え?盗賊退治?」
「あぁ、また王都近くの村からの依頼らしく、頻繁に貢物を強要しにくるらしい」
「それは許せないわね。でも、冒険者への依頼なのが変ね。王領ならば国の仕事じゃないの?」
「何か訳ありなんだろうな。受理するので良いよな?シャドウ達は今回も留守番か?」
「すまない……」
「いや、もちろん、無理しなくて良いよ。ただ、盗賊団の頭目の名前がグレートベアっていう黒髪の男らしくて、何となく関係しないか気になったんだが」
「何!?」
「いや、悪気があってじゃなくて」
「……やはり、今回は参加させて貰って良いか?」
「あ、あぁ。もちろん。じゃあ俺たち8人で参加すると報告しておくな」
臭い地下水路の繰り返し対応で信頼されたのか、先日の間引きの際の実績が評価されたのか、冒険者ギルドからは他の冒険者パーティーとの合同でもなく8人のみでの対応を指示された。
「まぁあまりに多くで行くと気づかれ、逃げられてしばらく後で被害が出るか別場所で被害が出るかだけというリスクもあるからかな」
「で、そのポルダって村は王都から馬で1日ぐらいの森の中の村らしい」
「じゃあ、馬を1頭借りて行くか」
シャドウとフェザーが留守番でないならば、馬2頭の扱いにも困るし、シャドウとフェザーが自分たちの馬ホーに二人乗りで乗るならば、あと1頭借りて皆が二人乗りする方が色々と都合が良い。
まぁ、という感じで、ヨルクとゾフィ、カミラとジーモント、ユリアンネとシミリートという組合せに決まる。