間引き進行
魔の森も進行が4日目になると、Cランク魔物のハイオークも見かけるようになる。
「白猿ホワイトエイプもたまにみるが、ハイオーク達というのはヨルクが喜ぶな」
「昨日までのオークの多さも踏まえると、この辺りってそっち系統の魔物が多いのかしらね」
「食べられなくて、夜にも襲ってくるアンデッド系よりずっとありがたいな」
“選ばれた盟友”の6人は軽口も言えるぐらいの余裕を持って進んでいるが、何となく他の冒険者パーティー達と離れている感じがする。
「俺たち、もしかして西4番エリアの中で先頭の方を行ってしまっていないか?」
「昨夜も他パーティーの火がほとんど見えなかったし、“不運なる三羽烏達”くらいかも」
「あんまり先行しすぎると万が一の時に孤立するかもしれないな」
「じゃあ、少しでも騎士団達の中心側によって進みましょうか。隣がどこかの有力な冒険者クランなら、もうちょっと先行しているでしょうし」
「でも、それをすると、俺たちが通った後から来る西4番エリアの他パーティーから、獲物が減ったと文句が出るかも……」
「そっちの方が面倒ね。当初の通り、真っ直ぐ行きましょうか」
ハイオークだけの数体の集団に遭遇するようになると、Cランク魔物と同格の銅級はシミリートとユリアンネの2人だけで、ハイオークより格下の鉄級の残り4人は1対1では厳しさを感じるようになる。
王都に来る途中で先輩冒険者に武技を教わりはしたが、未だ習得できていない4人である。
「少しペースを落としながら、怪我しないように丁寧に進もうか」
状況に気づいたシミリートの提言である。鉄級4人の実戦練習になる程度の数にユリアンネとシミリートが減らした後は、銅級2人は手出しをせずに見守ることにした。
「確かに経験にはなるが、スパルタだな」
「強くなれるんだから良いだろう?」
何かあれば助けて貰える、怪我してもユリアンネに治して貰えるという安心もあり、色々と試行錯誤する仲間達であった。