間引き開始2
初日は王都からの移動時間もあったこともあり、それほど奥には進んでいない。
遭遇したのも、蛇、猪、狼など程度であったため、特に苦労はしていない。前に進むことを優先のため、その場で解体することは基本的にはなく、ユリアンネたちは魔法の袋に倒した魔物を放り込むだけにしている。
そして夜になっても、他のパーティーと一緒にかまどを囲むこともなく、6人だけでの食事などになった。
「まぁこの方が気が楽で良いわね」
「とは言っても、ほらあっち、そしてあっちにも、他のパーティーの火が見えるから、変なことをすると他所にも伝わるわよ。魔物の襲撃があっても安心だけど」
「変なことって?ユリの大規模魔法とか?」
「≪炎壁≫?そんなこと、こんな時にしないわよ!」
幼馴染で昔からトリアンダンジョンにも潜ってきた6人であり、そのメンバだけの野営であれば数え切れないだけこなしている。
ユリアンネの魔法やポーション調合など他人に知られると面倒なことや、食材を人より贅沢にしていることなど、他人と一緒でないことによる気楽さがある。
昼間に倒した魔物から、ユリアンネの吸血魔剣で血抜きをしつつ、解体をしてカミラのための牙の抜き取りやゾフィのための皮はぎなども調理が完成するまでの間に行う。
その夜も、慣れた順番で見張り番を交代したが、特に魔物の襲撃もなく無事に朝を迎えることができた。日が上れば移動とのこともあり、朝食時間の確保のために少しだけ早く起きて準備をしたぐらいである。
その翌日は、昼食時間も自分たちで管理のようであり、少し遠くに他の冒険者の気配は感じつつも火を起こして温かい食事にこだわった6人。
「なんか獣より虫が増えて来た気がする。食べられなくなるじゃないか」
というヨルクの声のように、熊なども遭遇し始めるが、巨蟻ジャイアントアント、巨大蜂ジャイアントビー、巨蜘蛛ジャイアントスパイダーなどを見かけるようになった。
以前のように蜂の巣を探すことは今回は諦めているが、単なる虫だと気が滅入りつつも、順調に森の奥に進む一行であった。