魔の森の間引きパレード
「おぉ、これはすごいな」
魔物の定期間引きに出発する王国の騎士団と魔術師団のパレードを見たシミリートから、声が漏れる。
迷宮都市トリアンでの衛兵になったシミリートではあったが、これほどの数の軍事行動を見たことはない。さらに衛兵は身軽さも要求されるので、騎士団のように金属鎧で騎乗するわけでもない。その重厚な装備で統一された100人規模の集団が行軍しているのである。騎乗した騎士だけでなく、その周りにはもう少し軽装の従士の数がその何倍もいる。
「シミは衛兵をやめて王国騎士を目指す?」
「いやいや、俺はユリや皆の近くに居るためにトリアンに戻るぞ。でもカッコ良いのは確かだよな。これを毎回見る王都の子供たちは、将来の夢として憧れるだろうな」
「ユリ、あっちもすごいわね」
「騎士団程では無いけれど、お揃いのローブ姿って見る機会が無いから新鮮ね」
「あの一部の人の肩に乗っていたり一緒に馬車に乗っていたりするのは従魔なのかしら」
「ん?お嬢ちゃんたち、知らないのかい?あれは使い魔だよ」
パレードを見ている観客の中でも物知りらしい男性が声をかけて教えてくれる。
従魔の呼び名はその名の通り従えた魔物のことだけをさすが、使い魔は従魔に限らない。魔物は胸に魔石があるものだが、魔石のない一般の鳥獣だけでなく魔法で人工的に作られた生物っぽいものもいるらしい。
一般的には鳥などの空を飛べるものや騎乗できるものが人気らしいが、愛玩的な意味も込めて猫なども人気とのこと。
ユリアンネは前世記憶で、魔女といえば三角帽子(とんがり帽子)と黒猫のイメージがありニヤついてしまう。
「ユリにも使い魔がいれば私たちも遊べるのかしら」
「そうね、どこかで調べてみたいわね」