イニヒェン周辺のオーク退治
「お前達もなかなかやるみたいだな」
夕食の後に仮眠を取ってから、オーク達の居た場所まで移動すると既に深夜も遅くであった。木々がほぼ無い広場のような場所で、岩場に丸太をいくつも立てかけたような簡易の家のような物の合間にオーク達が転がって寝ていた。
日頃一緒にいない不慣れな2パーティーの合同部隊であるので、異なる方向に別れてそれぞれが中心を目指して攻め入ることになった。
ハイオークなど上位のオークがいたわけでは無いが、戦後に数を数えると合計18体のオークがここに居座っていたようである。
シミリート達の方向では、見張りに立っていたオーク2体に対してゾフィの弓矢、ユリアンネの氷刃などの遠隔攻撃から戦闘開始し、騒ぎで起きてきたオーク達を順次倒しながら中心部に向かって来た。
ユリアンネは、延焼が怖いので火魔法ではなく≪氷刃≫を使用する以外に、新たに覚えた≪魔力矢≫を活用していた。これは無属性の矢であり、威力はそれほどではないが同時に多くを発動することも容易で、誰かが対峙しているオークに対して当てて注意を逸らさせて隙を作らせることもでき、非常に便利であることに気づいたのである。
シミリート達は怪我をすることもなく中間点にたどり着き、さらにエカード達の方にまでオークを殲滅しながら進むことになったので、エカード達からなかなかやるとの発言になったのである。
ユリアンネが目立たないようにするため、最近購入した大量に収納可能な魔法の袋はシミリートが持ち、そこにオークの死体を収納していく。エカードも魔法の袋を所持していたが、他の物品が入っていることとそれほど余力もないとのことで、18体全てをシミリートが回収した。
一通り戦闘が終わった後は、エカード達の方で少し怪我をした者たちが居たようであるが、自分たちで対処しているようなので治療を申し出ることはせず、オークたちの使用していた丸太などを集め、燃やしていく。再び他の魔物が棲みつかないようにするためである。
全てが終わり、すでに明るくなりかけた中を村に向けて戻っていると、木々が減り視界が開けたところで狼煙が上がっていることに気づく。