地下水路挑戦の夜
地下水路の魔鼠討伐から帰宅した夜、シャドウ達も合流して夕食になった。主に料理担当になるジーモントも一緒に出かけていたため、ほとんど外で買い集めて来た、外食でも内食でもない“中食”である。
帰って来たシャドウとフェザーが皆と合流しても顔をしかめなかったので、≪洗浄≫の効果はあったのだと思われる。
「王都の地下水路って、古代の街のダンジョンのようだったのよ」
「鼠退治だけって話だったのに、何か楽しそうね」
「えぇ、もしかしたら未発見の遺跡につながるかもしれないところを見つけたの。でも、フェザーもいつもより何か嬉しそうね」
「あら、そう?」
「えぇ、いつも探し物が見つからなくてガッカリという感じだったのに、何かきっかけでも見つかったのかしら?」
「!」
「あ、ごめんなさい、詮索するつもりじゃないのよ」
「話せる時が来ればお話するわね。こちらこそごめんなさい」
ユリアンネは失敗したと思って話題を切り替える。
「ねぇ、みんな臭くなかった?地下水路は死体などで臭くて。一応は服なども含めて≪洗浄≫をしたし、2人が帰ってくる前にお風呂にも入ったのだけど」
「あら、そうだったの?特に何も気づかなかったわ」
「そうだ、シャドウ。次は魔の森に挑戦するんだ。前にルードルフの街で挑戦したときは、蜂のダンジョンも中途半端だったし、一緒にどうだ?何日か泊まりがけで行くつもりなんだが」
「あぁ、ありがとう。でも俺たちはまだ当分の間は用事が……」
「そうか、残念だ。それにもしシャドウ達も一緒ならば、魔の森の手前まで馬で行っても、シャドウ達の乗馬のホーが賢いから俺たちの馬の面倒も見てくれると思ったんだけどな」
「ん?もし連れて行かずに、この家に残していくのだったら、俺たちは毎日帰ってくるつもりだから、お前達の馬の世話ぐらい、ホーやフィアと一緒に見ておくぞ」
「シャドウ、本当か!?ありがとう!助かる!」
「家を安く間借りしているのだから、それぐらいは、な。いない間の食事も適当にしとく」
シャドウとフェザーは、普通に会話できるだけの語彙を十分に習得しているようである。