地下水路の先
「ふぅ、終わったかな?」
シミリートが足元の魔鼠にショートスピアでとどめをさしたところで一息をつく。
「もう数えるのも嫌なぐらいだな」
カミラが手にした松明の灯りで、死体を手当たり次第に魔法の収納袋に放り込んでいく仲間達。
「この巨大な鼠がDランクになったって奴かな。大きな鼠はEランクの上位かな」
「じゃあこの集団はCランクぐらいだったのかな。まぁうちには銅級冒険者が2人いるから、Cランクでも余裕だったわけか」
「ヨルク、何言っているのよ、ほら、早くこっちに向けて」
魔鼠に噛みつかれた傷跡は、それほどの大怪我になったわけではないがユリアンネの≪治癒≫魔法で治すだけでなく、毒が怖いので解毒ポーションも服用させている。
盾役だったシミリート、ジーモントだけでなく前に出ていたカミラとヨルク。そのカミラをかばったヨルクが足を噛まれていた。
「あら、これは?」
巨大な鼠を収納したところ、その後ろ、積み上げられた石壁と思っていたのに、子供なら通り抜けできそうな穴があいていることに気づいた。
「うーん、地図を書いてきても、単なる突き当たりと思えたのに」
ユリアンネが自作の地図と照らし合わせてもその先に何かあるとは思えなかった。
「これって、もしかして!」
「そうね、何かを発見したのかも。でも、時間が無いわ」
「あぁ、この戦闘のおかげで!もう帰らないと」
遠くで地上から漏れているあかりが赤くなって来ている。
近くの石を運んできてその穴を隠した上で、入口に急ぐ6人。収納袋に入れた魔鼠から魔石や討伐証明を取り出して、その死体を焼く時間的余裕はなく、ギルド職員が開錠した扉から地上に戻ることになった。




