地下水路の巨大鼠
王都の地下水路の一角、魔鼠が大量に棲みついているところへ、ユリアンネ達が攻撃を開始する。
「よし、行くぞ!」
シミリートの合図で角から飛び出し、ユリアンネが≪火炎≫を連発するのと並行して、残り5人が≪火球≫のスクロールを使用する。
「来たぞ!落ち着いてこなせば、所詮はEランク!」
「そういうシミこそ、な!」
シミリートとジーモントが盾を構え、シミリートは盾の武技である≪挑発≫も行う。
通常なら過剰と思われる火魔法ではあったが、魔鼠たちも重なるように集まっていたわけでは無いので、被害を受けていないもの達が一気に押し寄せてくる。
単純にはEランク魔物であり脅威ではないが、とにかく数が多い。特に≪挑発≫を繰り返したシミリートには後続も含めると10匹以上が向かってくるようである。
大量の火魔法のおかげで、灯りが不足することは無い。
さらに、炎がおさまった向こうには、通常の魔鼠に比べるとかなり巨大な、人の腰ほどの高さの鼠が居る。その巨大鼠が怒ったように、その周りにいる、自分の半分ぐらいの大きさ、それでも通常の魔鼠より大きな鼠たちに指示を出している感じがする。
「ユリ、ゾフィは奥を頼む」
シミリートの指示に従い、ユリアンネは引き続き火魔法を巨大鼠に、ゾフィは大鼠に狙いをつけて矢を放つ。通常の魔鼠より大きいこと、まっすぐこちらに向かってくることからゾフィの矢もある程度は的中する。
ユリアンネは魔力回復のポーションも飲みながら、≪火炎≫を連発すると巨大鼠の動きがおさまったので、≪火球≫を大鼠達にも使用する。




