王都の地下水路3
数匹ずつの魔鼠は所詮Eランク魔物であり、盾も重要ではないため、地図を作成しているユリアンネ以外の5人は前列を順次交代して進む。ゾフィはショートボウではなくショートソードを使用している。松明を持つのも前列になった者の役割である。
「なんかつまらない依頼だな」
「討伐証明の前歯と魔石だけ取るのも面倒だから魔法の収納にそのまましまうことにしたけれど……」
「ここの臭いってのは、下水ではなく放置して腐る死体の臭いみたいだからな。その辺に放置すると次に依頼を受けた自分達が苦労するだろう?仕方ないよ」
「出口でお迎えが来るのを待つときに解体をまとめてやって、不要な死体もまとめて燃やすことにしただろう?」
「その辺は仕方ないのだけど、ダンジョンと違って宝も期待できないから、張り合いが無いというか」
「それはわかる」
そうこうしている間に、魔鼠との遭遇が増えて来た後、とある一角を曲がる前に覗き込んだヨルクがのけぞる。
「おい、やばい数が居たぞ」
そっと、それぞれが覗き込んだ後は少し手前に戻って作戦会議を行う。
「暗くてよく見えなかったけれど、あれは20や30で済まないかも?その奥には大きいのも居たみたいだし」
「ちょっとやばいな。ユリ、≪火球≫のスクロールを使わせてもらって良いか?」
「そうね、私が≪火炎≫をできるだけ撃ち込むのと、みんなも≪火球≫を使えば何とかなるかしら」
作戦といっても、結局は火魔法で大打撃を与えた後は、盾役のシミリートとジーモントの2人を前に、その陰からヨルクのバトルアックス、カミラのショートソード、ゾフィのショートボウ、そしてユリアンネの魔法といういつも通りを実行するだけである。