王都の地下水路
「私たちにはユリの≪灯り≫も≪洗浄≫もあるから心強いわよね」
「カミラ、≪灯り≫については他の手段もあるし、魔力の節約のためにもしばらくは我慢した方が良いと思うぞ」
今日は王都の地下水路の魔物討伐依頼を受けるために、冒険者ギルドに来ている6人。
シャドウ達にも一応は声をかけたが用事を優先と断られていた。
実際に依頼を受けてみると、先輩冒険者のガルトとファンに軽く聞いた以上の説明があった。王都をほぼ南北に通過するように川が流れているのだが、王都の円形の城壁の中では地下を通過している。その地下を通る川付近が地下水路として大昔に整備されていたのだが、そこに魔鼠などがどうしても棲みついてしまうらしい。
川の流れの一部分であり、下水ではなく生活用水にも使っているとのこと。
昔の遺跡とは言っても、石垣などがそうでありお宝らしい物は例えあったとしてこれまでの冒険者達が取得済みだろうと言われ、がっかりしているカミラたち。
「ねぇ、それよりも地下を通って違う区画に行けたりしないの?例えばお城に忍び込むとか」
「いや、これを見てみろ。川は王都の西側、第3区画しか通っていないだろう?」
「なんだ。何か事件につながる話があったりしないかと思ったのに」
ギルド職員もその会話は見飽きているのかあたたかい目で見てくれている。
「大体ご理解いただけましたか?これだけ巨大な地下水路ですので、1回の依頼で全域の討伐を、とはなりません。今回はこの範囲になります」
王都の一番外側である第3区画でも西側にスラム街は多い。ちょうどその下あたりが今回の対象範囲とのこと。
「地下水路を悪用されないように、鍵は職員が開け閉めします。朝に地下に降りたら、夕方に出てくるまで鍵を閉めますのでそのつもりでご準備をお願いします」