冒険者ギルドでの決闘2
王都の冒険者ギルドの闘技場で決闘することになったシミリート。
ショートソードは腰に吊るしたまま、左手にはバックラー、右手にはショートスピアを構えて前に進む。
「訓練用の木剣とかじゃないの?」
「どうもギルドの方で回復魔法を使えるのがいるらしく、特殊な武器で木製がない人が不利にならないように日頃使っている武器をそのまま使うルールらしいわよ」
「大丈夫かしら……」
「まぁ大怪我をしなければ、ユリのポーションで何とかなるでしょう」
腰程度の高さの壁が半径10mほどの円形を作っている。その周りには多くの観客が集まっている。
「さぁ賭けた、賭けた。片方は、あのガルト。大斧で若手冒険者を何人も倒してきた大男だぁ。もう片方は新人、槍を構えた優男、シミリート。今の倍率はガルトが1.2倍、シミリートは6.8倍。手堅くいくか、大穴にかけるか。さぁ賭けた、賭けた」
ギルド職員ってこんなこともするんだ、と思うようなあおり言葉を聞いていたユリアンネだが、
「買って来たわよ。もちろんシミの札をね」
とカミラが結構な銀貨をかけて来たのを見せられる。ヨルクもゾフィも買って来たようだ。
「ジモ、ユリの護衛は交代するから行って来て良いわよ」
「あぁ任せた」
「え?」
「ユリは稼いでいるから大丈夫でしょ?その代わりシミをしっかり応援してあげてね」
仲間達がこの流れにしっかりのっているのに驚く。
「では、ハジメ!」
審判もギルド職員がするようで、円形の外から声をかけている。
「お前達みたいに、田舎でちょっと自信がついたからって王都に来るような奴らがいっぱい居るんだよ。井の中の蛙に世間を教えてやるのが先輩の務めってな」
大男の割に早い速度で近寄ってきて両手斧を振るうガルト。
それに対してシミリートは盾で受けることもなく身体をかわす。
「では、先輩、色々と教えて頂きましょうか。王都の厳しさを」