冒険者ギルドでの決闘
冒険者ギルドの建物内でケンカ騒ぎは許されないが、訓練場での決闘ならば、ケンカっ早い冒険者達のガス抜きにもなるし、賭けの胴元にギルド自体がなることからも公認らしい。カミラが近くの女性冒険者に早々に情報収集をして来た。
「トリアンでは無かった風習ね。王都だからなのかな」
迷宮都市トリアンでも冒険者ギルドに訓練場は併設されていたが、ここの訓練場はその普通の物以外に明らかに決闘用の観客席まで付いている闘技場と呼ぶべき物があった。
ユリアンネは、詳しくは無いのだが相撲、ボクシングやプロレスのような前世記憶を思い出す。しかし、真ん中の戦う場所はその何倍かの広さがある。近接武器だけでなく、弓矢や魔法などの遠隔攻撃も考慮しているのか、複数人対抗も出来るためなのかは分からない。
「まったくもう。王都に来た早々にこんなのに応じなくても良いじゃない」
「いや、王都で稼ぐために仕事を探す必要があるし、早めに名前と顔を売っておいた方が得だと思って。今の俺達、確かに成人したての15歳程度の若造で、王都へ来たばかりのオノボリさんだからな」
「有名人になんてなると面倒しかないんじゃないの?」
「知名度がない若者が攫われるよりも、有名人が攫われる方が周りが騒いでくれるだろう?」
「良く分からないけれど、シミなりに考えての行動ということね」
「いつも考えなしみたいな言い方だな」
「あれ?違った?何かとユリに迷惑をかけているでしょう?」
「う……」
冒険者のランクは互いに分からないままで、大男の1人とシミリートが闘技場に進む。