出店の検討2
挨拶まわりを終えて休憩した後は、買い出し担当だったヨルクとジーモント、クロリスへの挨拶担当だったユリアンネとシミリートも掃除担当に合流し、6人で家中の大掃除を再開する。
「やっぱり部屋数が多いわね」
「家族だけでなく、従業員も住み込みで雇えていたのだろうね」
「じゃあ、予定通り部屋の配置をしましょう。寝室は、女性陣と男性陣3人ずつと、シャドウとフェザーの兄妹用の3つでしょ。で、食堂や浴室、店舗の応接などの共通部を除くと、作業部屋には3つね。ゴミが入らないようにユリの薬と本の作業場所と、カミラの工芸と私の皮革や衣服の作業場所と、ヨルクが親戚のところでする鍛冶以外の場所で、皆の武器などの手入れもする作業場所で分けましょうか」
「俺たちは特に異論はないぞ。武器の訓練ができる広さも内庭にあるし、しばらく出店しないならば店舗スペースで雨の日にはそこを使えるし」
「もう少し落ち着いたら出店も考えて追い出すからね」
「あぁその時はその時で。武器の手入れの場所も使えるからな」
その後はそれぞれの部屋で各々の荷物を広げたり、旅続きであまりできていなかった武器を解体しての詳細な手入れをヨルクの補助で行ったり、それなりに広くて色々とできる調理場で調理したり、思い思いの過ごし方をする。
シミリートの槍道場、ヨルクの親戚など王都に知り合いができた者たちは新居の場所を伝えにも行っていた。
夜になり新居に帰宅したシャドウたちと夕食になる。
「シャドウたちも故郷に手紙を書かない?俺たちはトリアンの親達に、王都に着いたこととここの住所などを書くことにしたんだ」
「まぁ途中のメイユあたりの魔物騒動がおさまらないといつ届くか分からないのだけどね。トリアンにすぐ帰るつもりでは無いから遅くなっても良いし」
「今回の俺たち、というよりもクロリスさん達みたいに何らかのルートでトリアンにまで行く人はいると思うから、冒険者ギルドで依頼を出しておけばおまけで届けてくれるだろうからな」
シャドウにも、シミリート達が手紙の送付を誘うが、
「いや、俺たちは使命を果たすまでは……」
とそれ以上は触れないで欲しいという空気感で断ってくる。