出店の検討
隣近所などへの挨拶まわりを終えて新居に戻った6人。
「ふぅ、みんなお疲れ様!」
「でもやっぱり聞かれちゃったね。どんなお店を出すの?って」
「まだ決めていないと言うと怪訝な顔になったけど、楽しみにしているって愛想を返されたね」
「まぁ店舗兼住居を借りるなら普通は目的がはっきりしているだろうしね」
店舗運営に興味が強いカミラとゾフィが、自分達で早く店を開きたいという。
ヨルクは親戚が王都にいてそこで鍛冶をさせて貰えるし、ジーモントは宿屋の長男であり料理には興味があるが商品を並べる店舗への興味はそれほどなく、シミリートは武器屋の三男だから後継ぎのつもりもなく衛兵になったぐらいである。
ユリアンネは薬師になりたくてその店舗を持ちたい夢は捨てていないが、下手に目をつけられて誘拐される可能性を踏まえると、こっそりどこかに納品するだけでも良いと思い始めている。また今はオトマンの書店の見習いという立場でも、その分野の仕事はクロリス商会や斜め向かいのライマール書店に納品するだけで良いと言えば良い。逆にこの距離で新規に書店を開いて勝てると思えない。
結局はカミラとゾフィの2人が強い想いとなるが、カミラは工芸屋の長女でありトリアンに戻れば後を継ぐ予定の店がある。ゾフィは皮革屋の娘であるが次女であり後継でないのと、本人はお洒落な衣服を作って販売を希望している。
もしもこの場所でずっと店舗運営をするならば、隣などに競業の居ない衣服屋に工芸品も並べる店にして、周りと同様に少し高級な価格帯の商品にするのが望ましいのであろう。