シャトニーでの住居探し再び2
クロリスの紹介の不動産屋で、再び王都での住居を探しているユリアンネたち。
何度か実例での条件確認をされた後の3物件の提示になる。
「こちら、治安は良い場所で馬小屋もありますが、作業場所は少なくなります。逆にこちらは家賃も高くなりますが作業部屋も複数確保できます。こちらはその中間ですね」
「うーん、困ったなぁ。やはり王都はそれなりの金額がするから、単に宿屋に支払うより安くするだけなら、治安や作業部屋を我慢することになるよな」
「うちは女性が多いから治安は絶対だしな」
「皆それぞれ違う商売を目指しているから、作業部屋は多い方が良いけれど、それだと宿代よりかなり高くなるわよね」
皆が同一額を負担する前提であり、候補に対してこれ以上がなかなか絞り込むことができない。
「おや、皆様、商売を目指されているのですか?ではこちらなどいかがでしょうか?」
提示されたのは、第3区画でも第2区画に近い治安の良さそうなところであり、ユリアンネが先日挨拶に訪問したライマールの書店も近いようである。そして、幹線となる道沿いではないが、その一本裏手の商店街にある店舗兼住居の物件であった。
「え?店舗?確かにそれはありがたいですが、家賃が……」
「そうですね、それだけの金額にはなりますが、作業部屋にされるだけの場所もありますし、裏口には馬小屋もあります。一般家庭の方や普通の冒険者の方にはおすすめできない物件ですが、商人をお考えでしたらと思いまして」
「確かに……」
「では一度ご覧になってはいかがでしょうか?」