シャトニーでの住居探し再び
「ところで皆さん、拠点はどちらに落ち着かれることになったのですか?もしもこちらからご連絡をさせて頂く際にどうしたら良いかしら?」
「それが……」
シミリートが代表して、住居探しに苦労して今は宿屋であることを正直に告げる。
「あらあら、早くに相談してくだされば良かったのに。うちの系列にも不動産屋はありますのよ」
「でもお高いところには……」
「あら、ユリさんのこのポーションの売り上げがあれば。いえ、皆さんが一緒の立場で暮らされたいのですよね。わかりました。では」
富裕層の第2区画ではなくちゃんと一般的な第3区画の物件を扱う第3区画に店舗がある不動産屋への紹介状をクロリスが書いてくれた。
「ここの店主ならば安心ですわ。私としてもユリさん達には安心して王都で過ごして欲しいですし」
クロリスにはポーションの高価買取だけでなく不動産屋の世話にまでなったのでしっかりお礼を伝えてから、紹介された店舗に向かう。
「いらっしゃいませ。え!?この紹介状は。少々お待ちくださいませ」
店員にクロリスの手紙を見せると店長自らが対応してくれることに。
「こちら、料金的融通は不要であると申し伝えられておりますが、そういうことでよろしいのでしょうか」
「もちろんです。良い物件であれば相当の家賃はお支払いいたしますので」
「それであれば紹介状など不要でしたのに。大丈夫です、お任せください」
最初に資料を取り出して来たのは3件であり、スラム街に近い物件、第2区画に近い物件、その中間の普通の物件である。
スラム街に近い物件はそれだけ安い家賃ではあるが治安面での不安があり、最後の物件は馬小屋がない欠点があった。
その旨を伝えると、真ん中の物件に条件が近い物をいくつか見せてくれる。具体的な例で判断をさせてくれる良心的な対応だと思える。