王都シャトニーでの伝手探し2
「でもさぁ、結局のところ住宅を紹介してくれるような伝手は無かったのよね」
伝手への挨拶まわりや王都の街を見学してまわり足が棒のようになった仲間達は宿屋に戻り、その日を振り返る。
「それと、ユリのポーションの納品先はどうするの?実家の薬屋のお父さん達って、王都に知り合いはいなかったのよね?」
「うん、今日見てまわったいくつかの薬屋はある意味商売敵になるから納品できないだろうし、いつものように冒険者ギルドに納めるのかな。それと、神殿も納品を受け付けるところを探してみても良いかも」
「そう?でもあまり割が良くないのよね?いっそクロリスさんのお店に行ってみる?」
王都までの護衛依頼の際に、名刺メダルまで貰っており、納品においでとも言って貰ってはいる。
「でも、クロリスさんのお店、第2区画だからちょっと敷居が高いわよね」
そう、今日も散策したのは第3区画であるが、クロリスの店舗があるのは豪商などの富裕層の第2区画なのである。
「それだけ高く購入するお客様がいるのだから、高く引き取ってくれるわよ。行ってみましょうよ。早く行かないとまた旅に出ちゃうかもよ」
理由がないとなかなか足を踏み入れにくい第2区画を見学できる機会であるとカミラが強くおしてくる。確かに王都ではお金がかかることも多そうであり、安心できる納品先を確保できる方がありがたい。下手な相手に調合能力を知られると、トリアンでのトラブルと同じことになる懸念もある。クロリスはその点で安心できる相手だと思える。