王都シャトニーでの伝手探し
シャドウとフェザーと昼間は別行動になった6人は、第3区画を見学してまわる。
親達から知人宛に預かった手紙は、トリアンと同じストローデ領内の街を除くとこの王都の住人宛であり、その店舗などにも挨拶に行く。
ヨルクは同じドワーフの親戚の鍛冶屋、カミラとゾフィはそれぞれ親の工芸屋と皮革屋の取引先、シミリートは通い出した“コルマ貫流”槍の師範代ドミニコラの紹介の道場である。
カミラとゾフィの伝手はどちらかというと軽い挨拶程度にしかならなかったが、ヨルクは親戚というのもあってか、時間があるときにはいつでもかまど等を使いに来て良いと言って貰えた。しかし、住居の紹介をするほどその方面への顔は広くないようであった。
シミリートの伝手の道場は、流石に王都であり通いの弟子も多くて大きな敷地と建物であった。手紙の宛先のランドーアは、トリアンの師範代ドミニコラの弟弟子になるようである。手紙にどのように書かれていたのか分からないが、シミリートは武技も使える期待の若手という扱いをされ、王都にいる間は頻繁に試合稽古に来るように言って貰えた。王城の衛士や騎士団にも弟子が多いらしく、冒険者との訓練は有意義と人気のようである。
最後に向かったのはユリアンネの師匠であるオトマンの紹介先の書店である。
「あぁ君がユリアンネか。以前からオトマンの手紙で期待の後継者と何度も自慢されていたよ」
「そんな」
「いや、若いのに手先も器用で補修だけでなく、写本も魔導書までできるほどだと。さらに補足情報、注釈を追加で別冊にするから人気商品だとか。そうか、王都にしばらく居るのか。どうだい、今ここの在庫の魔導書でも写本を作ってみないか?もちろん手間代も払うし、自分用の写本を作っても良い」
ライマールというオトマンの友人らしいこの店主、なかなか押しの強い男であるがユリアンネとしても新たな魔導書に縁ができることはありがたい。