王都シャトニーでの別れ
「さぁようやくシャトニーに到着したな。みんなお疲れ様!」
城門を抜けた広場で馬車を停止し、護衛依頼への完了サインを行うクロリス。それを受け取ったシミリート達に対して専属冒険者リーダーのウィンデルの言葉であった。
「いえ、こちらこそ色々とご指導いただいたり、クロリス様には商人の基礎的なことなども教えていただいたり、大変勉強になりました。ありがとうございました!」
“選ばれた盟友”の6人、そして一緒に行動をしていたシャドウとフェザーの兄妹もお礼を言う。
「ユリさん、もし気が向いたら渡してあるメダルを持って、ポーションなどの納品に来てね」
こっそりとクロリスはユリアンネに念押しをしてくる。色々とばれているようである彼女に対しては素直にお礼を伝える。
「じゃあ、王都の冒険者ギルドに依頼達成の報告に行くか」
依頼主であるクロリスたちやその専属護衛の先輩冒険者達と別れたところで、シミリートが振り切るように声を上げる。家族や仲間以外でこれだけ長期に行動を共にしたことは生まれてからなかったので、それぞれ感傷的になっているのが分かった上での発言である。
「そうね、クロリスさんはかなり護衛報酬を奮発してくれたと言っていたし、さっき頂いた魔物素材の代金以上に期待して良いはずよね」
カミラもそれに乗り、皆も気持ちを切り替えて、ギルドに向かう。
王都なだけあり冒険者ギルドの建物の規模も想像以上であり、かなり大きいはずと思っていたトリアンの建物よりも大きく、中の人数も多かった。
「やっぱりかなりの額を貰えたよ。ほら」
シミリートが護衛報酬を受け取った布袋を見せ、シャドウとフェザーを含めた8人に配分を行う。
これにより次の別れになることを皆は覚悟をしている。




