バーアンのデメテル神殿3
デメテル神殿の出口に向かうところに、販売エリアがあった。お守りだけでなく、聖水や回復薬なども販売されている。
ユリアンネが販売されている傷回復薬や解毒薬などを興味深く見ていると、
「思ったより高いな、これなら」
シミリートが余計な一言を言いかけたところで、販売の職員が声をかけてくる。
「あら、皆様は冒険者の方々ですか?冒険者ギルドや薬屋で販売されているものより高品質なのでそれだけお高くなっているのかもしれないですね」
「そうですよね、失礼しました」
ユリアンネが早々に立ち去ろうとしたところで、シミリートが先ほどすでに取り出していたユリアンネ作成のポーションの薬瓶を見られてしまう。
「そちらは?え!?中級上位?どちらでこれを?」
「え?いやぁ」
シミリートが誤魔化しきれていない笑いでいる。
「もちろんこの神殿の神官の方々も薬の調合が信者の皆様を救うことから精進はしているのですが、神職としての業務は他にもありますので。もし薬師の方をご存知であれば、神殿も納品を受け付けていることをお伝えくださいませ」
「あぁ、はい……」
何とか神殿を出たところでユリアンネは余計な一言が多いシミリートを叱りつつ、冒険者ギルドだけでなく神殿という納品先があるのだと振り返る。
薬師になりたいユリアンネだが、オトマンから引き継ぐ書店もあり、薬屋の運営までは難しいと思いはじめている彼女にすると、せっかく調合した薬を使用者に届ける経路が複数あるのはありがたい。
トリアンの街でも様々な神々を祀る神殿があるので、納品を受けてくれる神殿も中にはあるならば、と覚えておくことにする。